書名「日興の住宅地図」大宮市 1972年
書名「日興の住宅地図」大宮市 72
日興商事の住宅地図、埼玉県大宮市(現:さいたま市)1972年版です。
地図に詳しい方なら、上記のタイトルを見ただけで違和感があるかもしれません。
そうです「住宅地図」はゼンリンの登録商標なので、他社は使用できないはずなのです。
刊広社は「住宅明細図」明細地図社は「明細地図」と称し、自社製品を「住宅地図」とは名乗っておりません。
(株)日興商事は現在も長野県にある、ホテル等の経営が本業の会社ですが、昭和30年代から住宅地図の作成を開始し、一時期は東日本の主要部分の地図を発行していました。
ゼンリンは西日本から東日本に進出するに際し、この日興商事とまともにぶつかるよりは手を組む道を選び、提携するに至ったのでしょう。
日興商事の現在のWebには、以下の記載があります。
昭和48年(1973年)ゼンリン出版社と東京都住宅地図一括販売契約を締結し、同販売権を取得。
株式会社北海道中央観光社と協定し、北海道全域の住宅地図を出版。旭川支店、室蘭営業所(いづれも出版部門)を開設。
有限会社日野定造花店を吸収合併し、慶弔部門を立ち上げる。
昭和55年(1980年)株式会社日興出版社が日本住宅地図出版株式会社(現・株式会社ゼンリン)と合併。
表紙を開いてすぐ、政治家2名の写真と祝辞(中曽根さん若!)が載っており、一番下には有馬某さんの写真とコメントがありますが、この方は日興商事の会長であり、「日本住宅地図出版事業協同組合」の「副会長」であるようです。
「会長」はゼンリンの代表者でしょうから、1972年当時はこの2社が業界のリーダーであったのではないでしょうか?
ちなみに裏表紙の広告は、古い車ファンならそそられそうですね。
さて地図自体は、東部西部の区分はありますが、この1冊で大宮市の全域が収録のようです。(後半が西部)中心部の全体図が拡大されています。
中心部(だけ縮尺が大きくなっているようです。その他の部分と見比べてください。この世代は手書きですが、同じく関東で住宅地図を発行していた、公共施設地図航空社のものに比べて見やすいし、本の作りも丈夫です。
最終ページを見ると、埼玉の主要地区はほとんど網羅されており、ゼンリンは西日本から進出してひっくり返すのが難しかったであろう事がわかります。
裏表紙にも、正確な発行年の記載はありませんでした。
なお日興商事は、現在もゼンリン住宅地図の特約店をやっているようです。
ヤフオクに出品しました。2023/7/21
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/m1099911699